「この世の自分に別れを告げたまえ…」
東京ディズニーシーのアトラクション「タワーオブテラー」の、鏡の部屋のシーン。
鏡に映るエレベーターから私たちの姿だけが消え、さらにそこへシリキウトゥンドゥが現れます。
この不思議な演出は、どんな仕組みになっているのでしょうか?
ちなみに、プレショーの消えるシリキウトゥンドゥの仕組みなどは過去記事で解説しています。
まずは、この部屋の構造をざっくり解説します。
このシーンを横から見てみましょう。
ゲストが乗るエレベーターの前には、鏡が置かれた空間だけ。
…かと思いきや、実はこの後ろにも空間があるんです。
さらに…実はこの鏡、鏡ではなくガラスに近いもの。
正確には「ハーフミラー」といい、ガラスと鏡両方の性質を持った鏡なのですが、ここではガラスとして解説します。
そしてハーフミラーの後ろには、斜めになったもう1枚のハーフミラーが置かれています。
さらにその後ろには、私たちが座っているものと同じイスが置かれています。
最初扉が開いたときには、ゲスト側が明るく、向かい側が暗くなっています。
このとき、ガラスはゲストの姿を映す鏡として機能します。
※上の図で鏡の向こうにいるのは、実際の人間ではなくハーフミラーに映ったゲストの虚像です
向かい側が暗いと鏡になるメカニズムについては、過去の記事で解説しています。
ゲストがこの世の自分に別れを告げると…
ゲスト側の照明が暗くなり、向かい側が明るくなります。
さっきと逆の状態になることで、ガラスはゲストの姿を映さなくなります。
これと同時に、加工されたゲストの映像が上部から斜めのガラスに投影されます。
ガラスに映るゲストの映像と、正面にある実際のイスが重なると…
私たちの姿が鏡の中でゆがんでいるように見えます。
最後は私たちが座る部屋と、向かいにある部屋の両方が暗くなります。
投影された映像の中でゲストが消え、向かい側に実際に置いてある無人のイスだけが残ります。
そこへシリキウトゥンドゥの姿を投影。
暗い空間で鮮明に見えるシリキウトゥンドゥが、こちらに迫ってきます。
こうして、この部屋の演出は終わります。
このようなハーフミラーを使った仕組みの演出は、タワーオブテラーの他にもディズニーのさまざまなところで使われています。
ホーンテッドマンションの舞踏会のシーンがその代表例ですね。
そのほかには、プーさんのハニーハントでプーさんが消えるシーンにもこの仕組みが採用されています。
これらについても、以下の動画・記事で詳しく解説しています。
こちらもぜひご覧ください。
タワーオブテラーで見られる鏡の部屋の、不思議な演出の仕組みでした。
今回の記事の動画verはこちら
余談:以下は、身近で手に入れることのできるハーフミラーの一例です。
こちらでも、「ハーフミラーは向こうが暗いと鏡になる」ということが分かりますね。