あなたは、ディズニーシーのアトラクション「タワーオブテラー」に公式のラジオドラマがあったということをご存知でしょうか。
2006年に東京FMで公開されたポッドキャストで、ここにしかないオリジナルストーリーが楽しめました。
奇数の回は小早川冴子という日本人のオリジナルキャラクターを主人公に、偶数の回はハイタワーの失踪を追う記者マンフレッドストラングを主人公に話が展開。
マンフレッドストラングの声は、他の媒体同様に声優の森川智之さんが演じていました。
以下、ラジオのネタバレを含みます。
2ヶ月前、突如父が失踪した冴子。
そんな冴子のもとに、ある日謎の釘が届きます。
送り主は、冴子の父でした。
謎を追っていく中で、その釘はシリキウトゥンドゥの頭部に刺さっていたものだということがわかります。
釘はシリキウトゥンドゥ同様の呪力を持っており、釘を乱暴に扱った人間に災いを与えます。
作中では、冴子の勤務先のパワハラ上司とパワハラ取引先をまとめて闇に葬るなどの活躍を見せました。
個人的に好きなのは、冴子が事故を免れるシーン。
外に出かけた冴子は、「いつもは持ち歩いている釘を今日は家に置いてきた」という事実がなんとなく気になります。
「ずっと身をつけていなければいけないのでは」と思い、引き返そうと足を止めた瞬間目の前の道路に信号無視の車が突っ込んできます。
「釘を置き去りにした冴子に呪いが降りかかった(が、取りに戻ったので助かった)」とも取れれば「釘を取りに帰った=大事にしたため、シリキが災いから守ってくれた」とも取れるのが刺さりますね。
また、作中ではシリキウトゥンドゥの正体についても少し語られます。
この物語曰く、シリキウトゥンドゥの中にはいたずら好きなシャーマンの骨が入っているとのこと。「いたずら好き」という語彙がいいですね。
10話からは、冴子が釘の力で過去のニューヨークにタイムスリップしてしまいます。
頭部の釘1本で人をタイムスリップさせてしまうとは、シリキウトゥンドゥの力恐ろしいですね。
冴子はそこで出会ったストラングとともにホテルハイタワーへ潜入し、あの事件の真相を追います。
個人的に、ラストの「何も解決してないけどなんとなく主人公の心がほんの少し救われて終わり」という終わり方がいかにもホラー作品のオチらしくて好きです。
放送当時はまとめて公式の方でネット公開されていましたが、残念ながら現在はサイトが閉鎖されています。
ベアトリスやスメルディングといったサイドキャラクターも登場し、マニアも楽しめるストーリーとなっていました。