この記事では、ピクサー作品に見られる衝撃的・ブラック・不気味なシーンを紹介します。
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ファンシーだけどちょっと怖い世界…インサイド・ヘッド
最初の怖いトラウマ映画は、インサイドヘッドです。
本作の舞台は、少女ライリーの頭の中を具現化した世界。
少女らしくピクサーらしい、ポップな世界が広がります。
しかし、物語が進んでライリーの心が不安定になると、途端に不気味なモチーフが現れ始めます。
バラバラに破壊され崩れ落ちる、巨大な笑顔のモニュメント。
ライリーが恐れるものを閉じ込めた「潜在意識」の世界と、そこにいる巨大なピエロ。
ところどころでメルヘンホラーを感じられる、おすすめの一作です。
整合性のない狂った行動「アーロと少年」
続いてのトラウマ要素は、アーロと少年のキャラクター「イナズマドカン(画像右)」です。
大規模な台風をきっかけに、迷子になってしまった主人公アーロ(画像左)。
アーロは、偶然通りかかった翼竜に助けを求めます。
「よぉ相棒。怪我したか?」
「ううん、大丈夫」
「よかった!そいつは何よりだ。」
フランクで優しそうなその翼竜は、自身の名を「イナズマドカン」と名乗ります。
彼はアーロに、このような身の上を語り始めました。
「イナズマドカンは本名ではなく、”台風”にもらった名前だ」
「昔台風に巻き込まれてとても怖かったが、そのおかげで台風から『天のおしめ』をもらった。それ以来恐怖の感情はなくなった」
「台風は自分に『嵐の恵み』をくださった」
話を聞けば聞くほど、何を言っているのか分からなくなってくる彼。
それでも優しそうな態度は変わらないため、アーロは変わらず信頼を寄せます。
そんなイナズマドカンは、「台風で傷ついた動物を救うパトロールをしている」と話します。
「木に挟まって動けない動物がいるから、助けるのを手伝ってくれ」と言われ、了承するアーロ。
「いやぁよかったぜ!」
「よかった…」
「あぁ。命を救った、君のおかげだ」
動物を助け出したイナズマドカンは…
そのまま動物を食べてしまいました。
このキャラクターの怖いところは、「動物を食べるために優しいフリをしてアーロを騙した」とはとても思えないところ。
動物を助けたかったのも、その動物を食べたのも、一貫した自分の本心かのように振舞うところです。
真の親切心で動物を救い、その上で動物を食べたという訳のわからなさ。
支離滅裂な言動と行動の不気味さが当時話題を呼びました。
言動から察するに、彼は「台風に巻き込まれて脳を損傷し、正常な思考を失ってしまった動物」であることを暗喩しています。
なかなかブラックな設定のキャラクターですね。
彼が名乗る「イナズマドカン」という少々ユニークにも思える名前さえ、当人の滅茶苦茶さとそれによる虚しさを助長しているかのようです。
本作のヴィランとして立ちはだかる彼ですが、その最期も壮絶です。
「恐怖の感情など忘れた」と誇らしげに語っていた彼ですが、皮肉にも死の直前に恐怖の感情を思い出し、恐れを抱きながら川で溺れて死んでしまうのでした。
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